外装研磨（ポリッシュ）

当店ではVELVO-CLEAR(ヴェルヴォクリーア)のVS-22545をメインで使っています。
超音波洗浄機で奥に入ってしまった汚れを取り除きます。
同時に皮脂油などを浮かせる効果もあります。
中に入っている液体は金属の汚れが良く落ちる様に水と薬品を配合したものを作っています。
※素材には特に気を使いますので、化学反応をして絶対に傷めない薬品を厳選して計算して作成しています。
その為、これだけでも時計はある程度綺麗になっています。

一つの時計に複数の質感の異なる仕上が施されている事が殆どです。
その為、テーピングを行い、各パーツに分けていきます。
テーピングは耐熱テープです。この作業が仕上り後に大きな影響を与えます。

実はある程度、環境が整ってしまえば、経験が浅くても研磨によってそれなりに綺麗な時計に仕上がっている様に見えてしまいます。
実際は綺麗に見えているのは、削りすぎた結果よく光っている。といった事がありますし、その様な時計をたくさん見てきました。
私たちはこれを良い仕上とは思っておりません。
何故かと言うと、時計の外装は精密に計算されてデザインされています。削り過ぎてそのバランスが崩れれば時計の価値が損なわれてしまいかねないからです。
ですので、私たちは新品時のバランス、角度、角の立たせ方を、いかに新品時と同じように再現できるかを巧さとしており、 結果的にバランスが取れている研磨は美しく見えます。そして時計購入時の感動をもう一度思い出して頂けたらそれはとても幸甚なことなのです。
綺麗だけど、削り過ぎてしまい、やせ細ってしまう仕上は、作業時間も短く済み、一見綺麗に見える為、経営目線で見れば正しい選択かもしれません。
しかし、それは時計の価値や素材の価値を下げてしまう事に他ならず、本来の私たちの目的である時計の価値を最大限に引き出す事から外れてしまいます。

いままでは職人によって使用する機材や道具の使い方、研磨剤などが異なりましたが、品質を一定にするために必要最低限の工程や道具の使い方を統一しています。

傷や記念日などが彫られた文字を消すこともお客様のご希望によってお受けさせて頂きます。
傷や文字を消す場合、どうしても傷や文字よりも深く研磨をしなければ消すことが出来ない為、そのリスクのご説明はさせて頂いております。
それでも、時計の価値を最大限に引き出す努力は最善を尽くさせて頂きます。